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韓国大田(テジョン)にて

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延世大学校図書館のトイレの落書き(その3)

昨日に引き続いて落書きを紹介します。今日は5階南側トイレの落書きです。

1.재단 전입금 확보하여 중앙도서관 6층 화장실 고리 달자.
2.世上多樂이되 其一樂卽美色 基二樂卽玩其美色 於此樂之最上卽 持保基樂至終末
3.연세=기독교문화=멋 그러나 개인주의
 ( 引用者注:「개인주의」を四角で囲む)

<解説と感想>

ユーモアのある落書きは読む人を楽しくさせてくれる。1.などはこれに当たるだろう。
まずその前半部は「財団転入金を確保して中央図書館の・・・」となっている。普通ならばこの後ろに「施設を改善せよ」とか「蔵書の充実に努めよ」などという文句が続くと考えるであろう。ところがこの人は「財団転入金を確保して中央図書館6階トイレのカギをつけよう」と書いている。「(문)고리」 はふつう円形の扉の取っ手を言うが、ここではトイレの個室を施錠するためのカギのことであろう。しゃがんでいる時に他人にドアを開けられると情けない気分になるものである。

しかしこの落書きは単なるユーモアでは済まされない問題を内包している。私立学校の「財団転入金」とは学校法人が得た収益金の中から傘下の学校へ支出するそのお金を指している。しかし韓国の大多数の私立大学は運営資金を学生からの「登録金(授業料)」に依存している。「財団転入金」が減るということは学生の授業料が上がることを意味する。この落書きはその当りの問題や基本的な施設の管理に金をかけようとしない大学当局をも批判しているのであろう。

2.は漢文の落書きだ。韓国人の中には大人でも自分の名前も漢字で書けない人がいる反面、若いにもかかわらずこうした漢文が書ける学生がいるあたり、さすが韓国私学の雄、延世大学である。

3.は延世大学に対するイメージに関係がある。延世大は米国のキリスト教宣教師が建てたプロテスタント系の大学だが、土俗的ではないぶんだけ何となく垢抜けた印象があるのだろう。しかしそれが「個人主義」につながるとしているのは興味深い。

私が語学堂に通っていたとき新村の下宿に住んでいた。そこで知り合った友達の一人に慶尚南道忠武の出身で延世大に通っていた姜◎一君という人がいた。彼の出身地では1万ウォンぐらい友人に貸してあげもあえて、返してくれとは言わないが、ソウルの人たちは小額でも返してくれというとボヤいているのを聞いた記憶がある。たぶんそれぐらいなら次に飯をおごるか何かの形で相殺するのだろう。こうした「情」の中で育った地方出身の学生には余計に延世大の雰囲気が個人主義的に見えたのかもしれない。

以下、次号に続く。
by eowjs | 2009-01-07 13:22 | 韓国について