韓国大田(テジョン)にて

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独り言の人

韓国では公共の場所で独り言を言う人があまりいないようだ。ここで言う独り言とは、例えば何かを急に思い出した時に思わず出たりする短いそれではなく、ある程度の長い時間続く独り言のことだ。

普通、頭の中で考えていることをいちいち口にしない。不特定多数の人が周囲にいる公共場所ではなおさらだ。「独り言の人」はこのようなシチュエーションで他人の存在や目をあまり気にしないで思っていることを口にできるのだろう。

先週末、久しぶりに大田市立交響楽団のコンサートに行った。僕の隣には身なりのいい青年が座っていた。彼はさすがに演奏中には独り言は言わなかったが、それ以外の時間は独り言が続いた。最初は隣の隣の人と話しているのかなと思ったが隣の隣の人は連れではないようだった。

演目はマーラーの2番「復活」で、この曲は4楽章と5楽章に声楽が入る。大編成のオーケストラによる熱のこもった演奏が続き3楽章が終った。ここで合唱団と女声ソリストが入場してそのまま最後まで突っ走るのだろうと思ったら、指揮者さんは舞台袖に引っ込み、15分の休憩のアナウンスが流れた。

確かに長大な曲ではあるが、ここで休みが入るとは思っていなかったのでちょっと拍子抜けがした。隣の青年も休憩が入ったことが不満だったようで一人で話し続けていた。よく聞き取れなかったが、「どうせ休むなら1楽章の後で休んだらいいのに」という言葉が聞こえた。15分の休憩が終って楽団員、コンサートマスター、指揮者、合唱団の人たちが舞台に上がり演奏を続けた。

うちへ帰ってインターネットで調べたとき彼の言っていたことの意味がわかった。僕は知らなかったのだが、マーラーはこの曲を演奏する際に「1楽章が終った時点で5分以上の休憩を入れるように」との指示をしたそうだ。独り言の彼はそれを知っていたのだ。

彼が独り言で口に出してくれたおかげで一つ勉強になった。


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by eowjs | 2010-03-04 13:00 | 備忘録 | Comments(0)